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奴隷メイドオークション ~正しいメイドの育て方~
第7章 オシオキ
愛さんの不安そうな表情に、私も強い不安に包まれる。
みんな、どのご主人様にも逆らえない。
見えるのは、厨房へ向かうみんなの後ろ姿だけ。今まで楽しそうだった雰囲気まで壊してしまったよう。
恐怖を感じながらも、私は工具箱を持つご主人様に付いて行くしかなかった。
「美桜。昨夜は眠れた?」
「いいえ……」
私は正直に答えた。眠ってはいたけど、数時間ほど。それも、愛さんの悦がる夢を見て、何度も目が覚めてしまった。
亜里沙ちゃんが、廊下で喘いでいた時とは違う。
私のせいで、愛さんに廊下であんなことをさせてしまった。後悔しても、もう遅い。
「おいで」
ご主人様は私の手を放して、廊下を個室の方向へ歩き出す。男性は、最初しか個室へ入れないのは覚えている。
そのまま個室の方への角を通り過ぎ、先へ進んで行く。この先は、まだ私が知らない場所。何があるのかも解らない。
少し先の普通のドアをポケットから出した鍵で開けると、中は急に薄暗い場所。
すぐにある狭い階段を降りると、地下室へ着いた。
地下室自体、何となく薄汚れた雰囲気。壁はレンガ造りで、天井も低め。
自宅の地下にワインを寝かせる地下室はあったけど、ここは普段人が出入りしない様子。所々出っ張ったレンガの上には、埃が溜まっている。
逃げても、どうしようもない。ここから逃げても、屋敷内で捕まるだけ。
階段を降りた通路も狭く、両側にはドアも無い。
少しすると、ご主人様が一番奥の鉄製ドアの鍵を開ける。その時に鳴ったギギギと言う音に身を竦めた。
ドアには、覗き窓程の横長の穴があるだけ。まるで、映画で見た中世の牢獄の扉のよう。
中へ引っ張りこまれ、ガタンとドアが閉まった。
「何、ですか? ここ……」
中の床は土で、壁と天井はゴツゴツとした石造り。そう広くなくガランとしていて、隅に小さな机があるだけ。
ご主人様は、持っていた工具箱をその机に置いた。
綺麗に保たれている屋敷の中で、ここだけが時と世界が違うような部屋。
それを見ただけで恐怖が増す。
「昨夜はどうしたの? 警報装置を作動させたメイドなんて、今まで初めてだよ。そんなに僕の事が嫌いなのかな?」
「いいえ……」
大きく首を振った。