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 奴隷メイドオークション ~正しいメイドの育て方~
第9章  亜里沙の事情


「コンビニでご飯を買ったりー。洗濯も自分でしてたけどー。上手く干せなくてシワだらけだったからー、学校で、よく虐められましたー。髪も寝グセが直せなくてー」
 今でも小柄な亜里沙ちゃんに、小学生の頃に洗濯物を干す、というのは難しかっただろう。私はそんなことさえした事もないけど、それでも健気に頑張る様子が目に浮かぶ。
「お風呂も毎日ちゃんと入ってたしー、汚くなかったのにー……」
 私は頷くしかなかった。
「4年生くらいからー、お母さんは1ヶ月くらい帰って来なくなってー。でもその分、10万円とか置いて行ってくれるからー。大丈夫でしたー」
 何か言ってあげたくても、私は世間知らずで、言葉が出ない。10万円なんて、少しいい服を買えば無くなってしまう。
 母親がどんな仕事をしていたのかは解らないけど、小学生を1ヶ月も1人にするのは酷すぎる。
「淋し、かったね……」
 それしか言えない。亜里沙ちゃんより年上なのに、上手い言葉が見つからない。
 亜里沙ちゃんが、ゆっくり首を振る。
「お母さんはー、一所懸命働いてくれてたからー。でもー……」
 一度言葉を切った亜里沙ちゃんが、続ける。
「保護する人達? 施設の人達に見つかって、連れて行かれましたー。だけど、1ヶ月くらいして、お母さんが迎えに来てくれたんですー」
 亜里沙ちゃんが、嬉しそうに笑う。
「大人だけで話し合った後ー、亜里沙も訊かれたから、帰りたいって正直に言いましたー」
 私もだけど、幼い頃は他の家庭の生活は解らない。母親が帰って来ない事が、亜里沙ちゃんには普通の生活だったんだろう。
「その後も同じ感じでー。6年生になった時、急に黒い服の男の人達が来ましたー」
 黒い服の男達。それを聞いて、私は嫌な予感しかしない。私や奈々ちゃんが接したのも、黒い服の男達。
「内緒で働ける所があるって言われて、付いて行きましたー」
「それで、オークションに出されたの?」
 亜里沙ちゃんが首を振る。
「連れて行かれたのはどこかの古いビルでー、キッズポルノの撮影をしてましたー」
「キッズポルノ?」
「はい。子供だけが出る、エッチをするDVDです」


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