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隠密の華
第10章 九

間違っていると分かっても、もう遅いかもしれないが。

私はこの先、何度もこうして胡蝶と偽り白夜の妻になった事を、後悔するのだろう。

それでもきっと、白夜を夫として愛す事はない。

何度、口付けられても……。

「っ……んっ……」

唐突に口内へ差し込まれる、白夜の舌。

それに翻弄されながら、薄目で白夜を見ると白夜と目が合う。

その真剣で、狂おしい程愛していると伝わってくる瞳に、私の体にはびりびりと電流のような甘い痺れが走った。

……この目、知っている。桐も同じような目で、私を見てくることがある。

何故だ。桐を思い出すと。

無性に桐に会いたくなってきた。


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