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隠密の華
第5章 四

* * *

「桐!」

再び二階にある紫水の部屋へ入ると、私は床に仰向けに倒れている桐へ近寄り、桐の前でしゃがんで桐の頬を何度も叩いた。

「……んー、都?」

「逃げるぞ!起きろ!」

「……は?お、お前!何だ、その格好!」

「話してる暇はない。早く逃げないと、また紫水に叩きのめされるぞ!」

目を覚ました桐が私の着物がはだけている姿を見て驚くと、冷静に告げる。

「分かってるけどよぉ……その裸見たら、俺の息子も目覚ましたというか。覚醒したというか……」

「ころされたいのか!早くしろ!」

体を起こしながら桐がもにょもにょと話すと、いい加減怒鳴った。



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