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溺れる金魚
第15章  彼の怒り
「これを見ろ!」

乱暴にうなじに掛かる髪を掻き分けて、顎を掴みながら鏡にその場所を写し出す。



まだ夫である自分ですら触れたことの無い場所に付けられたその印に怒りしかない。

今までどれ程それを我慢してきたと思っているのだ。


抱けるならとおの昔に強引にでも自分の物にしてしまいたかった。



それを彼女から求めるまではと、何度も我慢してきたというのに。

一体どこの誰に!



自分に対しての不実な行為に怒りしかなかった。



「これ……って」

彼女はまだ知らなかった。


その経験が今まで無かったから、結び付かなかったのだ。




強く吸い付かれるとキスマークが出来るという事が……。
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