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第20章 　ほどける心

髪を梳きながら耳元に囁く。


「すまない。泣かないでくれ。君に泣かれるのは……辛い。強く攻め過ぎた。許してくれ」

その言葉に胸でうずくまる彼女は首をふるふると横に振りながら、なかなか許そうとしてくれない。


「紗良？頼むから……悪かった」

精一杯甘く囁く。



それなのにイヤイヤといつまでも首を横に振り続ける彼女。

紗良の気の済むまでずっとあやすように名前を呼んでは許しを乞う狐目の男の口元が緩み始めた。



それにしても……そうか……。

「ふっくくっ、ああ、そうか」


つい嬉しさのあまり笑いが込み上げる。



「……それは俺が付けたのか。それを自分で責め立てるなんて……はは、すまない。でもそれなら早くそう言えば俺だって……」