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溺れる金魚
第20章  ほどける心
ゆっくりと味わうように出し入れし、慣らしていく。


「あの花の花言葉、あれは俺に向けてだったんだ?気付いて欲しかったなら、早くそう言えば良かったのに。そうしたら、こんな遠回りなど……」



その言葉に瞠目して佐野を見返す。

「知ってたんですか?リナリアの花言葉……んっ、あっ……やっ崇志さっダメっ」



「知ったのは……ついこの前だ。君は誰を好きなんだと、強く嫉妬して、しまったよっ」

口元を緩ませながら彼がそれを言う。


腰はリズミカルに動いたまま。



紗良は伏せ目がちに彼の唇を求めに行った。

「……嬉しいです。……んっ、ずっと……私の気持ちなんて……あっはぁっ、ぅくっ……迷惑と思っていたから……」



キスしながら言葉を伝える難しさを紗良は初めて知った。
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