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第33章 　ホワイトクリスマス

かちゃりと開けて覗かせるその顔に一層佐野の頬が緩む。
「お帰りなさいっ。えっと……来ちゃいました」


照れながら言う紗良を今すぐ抱き締めたい。

「ただいま。すごく驚いたよ。まさかこんなサプライズが待ってるなんて」



くくっと佐野が笑うと紗良も安堵の表情を見せた。

中に入りコートを差し出してきた紗良の手に預ける。



続いて背広、ネクタイも外して彼女に渡す。


靴も備え付けの簡素なスリッパへと履き替えると漸く一息ついた。



「驚いたよ。まさかこんな事するなんて」

「……ご迷惑、でしたか？」


伺うように尋ねる紗良を強く抱き締めた。



「まさか。そんなわけ無いだろ？嬉しいよ。ありがとう、紗良」



彼女の頬に甘えるように触れるだけのキス。