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溺れる金魚
第33章  ホワイトクリスマス
「近江さんが」

「……ん?」


「近江さんが今回の事、声掛けて下さったんです。崇志さんがあまりにも気落ちしているから、いかがですかって。ホテルの部屋も爆弾低気圧のお陰でキャンセルがあるようで、簡単に取れるからって」



部屋はさすがにスイートは空いていなかったようだったが高層階のコーナーツインも悪くはない。

そこに紗良が居てくれたなら、それだけで華やかさが増す。


「……近江が、ねぇ」


紗良を腕の中に抱き締めながら呟く。


「後でお礼の電話かメールしておいてくださいね。あ、帰りの飛行機の事、聞いてますか?」


なぜ紗良の口からそれを聞いているのかといえば、やはり秘書の近江が今回のサプライズには深く関わっているというこ事なのだろうと佐野は思った。
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