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溺れる金魚
第33章  ホワイトクリスマス
「いや、まだ食べてきてない」

そう言って紗良の唇を食む。



「んっ……だめっ。レストラン、予約してるから……もう、行かなきゃ……」

駄目と言いながらもその表情を見せるのかと、紗良を心の中で責める。



「じゃあ、食事の後に紗良を食べよう。極上のデザートだな」

彼女の首筋に舌を這わせ名残惜しそうに離れていく。

その口角が上がる。



「……はい」

恥じらいながらも頬を染めながら返事をする彼女。


佐野の肩に伸ばしていた紗良の手も、胸にもたれていた頭も名残を惜しんでいるのが佐野にも伝わる。



彼を見詰める瞳はまだ彼を求めているようだった。
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