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第4章 サクラになる

飛行機の中の険悪な空気を思い出した。

「飛行機は…初めてだったから緊張してて、他の人と話す余裕も無かったわ。」

「そんなに緊張したの？」

「は…はい。こんな大きな鉄が空を飛ぶのよ？凄いなぁって思ったら怖くて。」

「ははは。そうだな。あんな鉄の重いものが飛ぶんだものな。人間はとてつも無いものを作るよな。」

神崎さんは私の気持ち解してくれていた。

「さぁ、ホテルだよ。」

車が止まるとボーイがドアを開けた。そして、私が降りる時に手を添えてくれた。初めての経験に戸惑っていた。
神崎さんはボーイに何か手渡していた。
何かをしてもらう度に神崎さんはして貰った相手に何かを手渡している。

「これか？チップだよ。彼らは給料ではなくチップで生活していたりするから。」

「そうなんだ。私、知らなくて。」

「だから、1ドル紙幣を何枚も持っていないとならないんだ。ははは。さぁ、部屋に行こう。」
ベルボーイが荷物を運んで案内していた。神崎さんは何か話しかけていたが、私には聞き取れなかった。

部屋に着くと、驚いてしまった。
映画に出てくるような部屋だった。

「す…凄いお部屋。こんなお部屋に神崎さんは泊まるんですね。」

「たまたま空いていたから。ここのセミスイートのツーベッドルームにしたんだ。」

「違う部屋までアリサを呼びに行くのも大変だから。一緒だよ。」

「そ…そうですね。こんな凄いお部屋を…すみません。」

「僕はまだまだ仕事があるから、僕には構わずに好きにしていていいんだよ。」

「はい。」

「素敵なアリサを魅せてくれよな。」

「はい。頑張ります。」

頑張りますと言ったが、あの恐ろしいモデル達と仕事ができるのか不安だった。