この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
終止符.
第2章 綻び(ほころび)
「奈緒さん…」
純の腕に力が入る。
「い、痛い…離して。」
「ここにいて…」
奈緒は、下腹部に純の高まりを感じて腰を引こうとしたが、純は奈緒の腰を強く抱き締めながら壁に押し付け、熱いものを更に押し当てた。
「やめて…」
「僕は…ハァ…ハァ…奈緒さんを傷付けたりしない。」
「あなたなんか…好きにならない…ハァ…ハァ…離して…」
「それでもいい…」
「!…ン…」
純は嫌がる奈緒の唇を奪った。
奈緒の両手は純の胸を押し退けようするが、かなわない。
純のもどかしいキスは、真二を思い出させた。
一途なだけのあの頃。
純がぶつけてくる不器用な愛。
純が眩しい。
彼を汚してしまいそうで怖い。
奈緒は身体の力を抜いた。
純がハッとして奈緒を見つめる。
「もうやめて。あなたに必要なのは私じゃない。」
「僕を好きになってれなくても構わない、あの人を忘れる為に…僕を使って。」
「な、何を言い出すの?ばかね。あなたは間違ってる。」
悲しい眼をして奈緒を見つめる純が、力なくうなだれた。
「間違ってるのは奈緒さんだ。…僕ではダメなんですか?」
「彼じゃないとダメなの。」
「愛されているつもりですか?」
「えぇ。」
「そんなのは嘘だ。」
「もう、私に構わないで。」
「無理です。」
「放っておいて。」
「いやだ。」
「迷惑なの。」
「………」
「帰るわ。」
「言いませんから。」
「………」
「彼の事、誰にも言ったりしませんから。」
「…お願いします。」
奈緒は自分の部屋に戻った。
ドアの内側にしゃがみこんで膝を抱える。
自分の汚さを思う。
純の眩しさを思う。
純の匂いが残っている。
乱暴なキスが残っている。
胸が苦しい。
篠崎に逢いたい。
身体に残っている純を消して欲しい。
「真二…。」
苦い思い出とともに今を思い、もう輝いていない自分の、過ちを省みる。
「部長…今すぐここに来て。 声が聞きたい。私を抱きしめて、愛していると言って。…逢いたい…逢いたい…逢いたい…」
奈緒は泣いた。
それが不倫というものに付きまとう寂しさだった。
一人だった。
雨音を聞きながら奈緒は泣いた。
篠崎を知ってから初めて泣いた。
そばにいて
そばにいて
純の腕に力が入る。
「い、痛い…離して。」
「ここにいて…」
奈緒は、下腹部に純の高まりを感じて腰を引こうとしたが、純は奈緒の腰を強く抱き締めながら壁に押し付け、熱いものを更に押し当てた。
「やめて…」
「僕は…ハァ…ハァ…奈緒さんを傷付けたりしない。」
「あなたなんか…好きにならない…ハァ…ハァ…離して…」
「それでもいい…」
「!…ン…」
純は嫌がる奈緒の唇を奪った。
奈緒の両手は純の胸を押し退けようするが、かなわない。
純のもどかしいキスは、真二を思い出させた。
一途なだけのあの頃。
純がぶつけてくる不器用な愛。
純が眩しい。
彼を汚してしまいそうで怖い。
奈緒は身体の力を抜いた。
純がハッとして奈緒を見つめる。
「もうやめて。あなたに必要なのは私じゃない。」
「僕を好きになってれなくても構わない、あの人を忘れる為に…僕を使って。」
「な、何を言い出すの?ばかね。あなたは間違ってる。」
悲しい眼をして奈緒を見つめる純が、力なくうなだれた。
「間違ってるのは奈緒さんだ。…僕ではダメなんですか?」
「彼じゃないとダメなの。」
「愛されているつもりですか?」
「えぇ。」
「そんなのは嘘だ。」
「もう、私に構わないで。」
「無理です。」
「放っておいて。」
「いやだ。」
「迷惑なの。」
「………」
「帰るわ。」
「言いませんから。」
「………」
「彼の事、誰にも言ったりしませんから。」
「…お願いします。」
奈緒は自分の部屋に戻った。
ドアの内側にしゃがみこんで膝を抱える。
自分の汚さを思う。
純の眩しさを思う。
純の匂いが残っている。
乱暴なキスが残っている。
胸が苦しい。
篠崎に逢いたい。
身体に残っている純を消して欲しい。
「真二…。」
苦い思い出とともに今を思い、もう輝いていない自分の、過ちを省みる。
「部長…今すぐここに来て。 声が聞きたい。私を抱きしめて、愛していると言って。…逢いたい…逢いたい…逢いたい…」
奈緒は泣いた。
それが不倫というものに付きまとう寂しさだった。
一人だった。
雨音を聞きながら奈緒は泣いた。
篠崎を知ってから初めて泣いた。
そばにいて
そばにいて