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終止符.
第1章 隠し事
「ねぇ、明日どこかに遊びに行かない?」
同僚の沙耶がデザートのチョコレートパフェを食べながら話しかける。
「午後からならいいわよ。」
コーヒーを一口飲んでから奈緒が答えた。
「あ、アタシはこれから彼と会って、明日は一緒に出掛けるからムリ。」
「いいなぁ。千秋は彼がいてさ。」
「うふっ、まあね。」
金曜の夜を職場近くのファミレスで同僚と過ごす。
沙耶も千秋も同期入社で付き合いも長く、気のおけない仲間だ。
家族連れが多い店内のざわめきの中で、奈緒の携帯が短く震えた。
『久しぶりに会いたい。10時に行くよ。』
メールを確認してからまたコーヒーを一口飲んだ。
「妹がこれから遊びに来るって。」
「もう帰る?」
「ううん、あと30分はゆっくりできるわ。」
「じゃあアタシ、クリームソーダ頼んじゃお。」
そう言うと千秋は店員を呼んで注文を済ませた。
隣の席に学生らしい三人組の若者が入ってきた。
その内の一人が奈緒と目を合わせた途端、ハッと表情を変えた。
「あ、どうも。」
「……」
知らない顔だ。
人違いだろう。
「誰?あのさわやか青年は。」
沙耶が聞いてくる。
「知らないわ。人違いよきっと。」
そのさわやか青年はちょっと首を傾げながら頭をかき、仲間にからかわれると、白い歯を覗かせがらメニューに目を移した。
「あぁ、あんな時代もあったよねぇ。」
ため息混じりに千秋が言った。
「なによぉ、千秋は彼氏がいるんだからいいじゃないの。 私達なんてお先真っ暗だわ、ねぇ奈緒。」
「そうよ、私も素敵な彼が欲しいわ。」
ふと隣の席に目をやると、さっきの青年が驚いたような、不思議そうな顔をして奈緒を見ていた。
……なんなの?
彼の視線は奈緒をイラつかせた。
「どこかで会いましたっけ? まったく記憶にないんですけど。」
「あ…いえ、はい、あ、すみません。」
「おい、しっかりしろよ純。お姉さんに見とれてんじゃねえよ。あはは。」
「邪魔してすみません。決して怪しい者ではありませんので。」
若者らしい軽快なやり取りに、沙耶と千秋は目を細めた。
「いいねぇ、諸君。青春だよね。あはは。」
沙耶が笑った。
「もう邪魔はしませんので。」
純の隣の若者が言った。
同僚の沙耶がデザートのチョコレートパフェを食べながら話しかける。
「午後からならいいわよ。」
コーヒーを一口飲んでから奈緒が答えた。
「あ、アタシはこれから彼と会って、明日は一緒に出掛けるからムリ。」
「いいなぁ。千秋は彼がいてさ。」
「うふっ、まあね。」
金曜の夜を職場近くのファミレスで同僚と過ごす。
沙耶も千秋も同期入社で付き合いも長く、気のおけない仲間だ。
家族連れが多い店内のざわめきの中で、奈緒の携帯が短く震えた。
『久しぶりに会いたい。10時に行くよ。』
メールを確認してからまたコーヒーを一口飲んだ。
「妹がこれから遊びに来るって。」
「もう帰る?」
「ううん、あと30分はゆっくりできるわ。」
「じゃあアタシ、クリームソーダ頼んじゃお。」
そう言うと千秋は店員を呼んで注文を済ませた。
隣の席に学生らしい三人組の若者が入ってきた。
その内の一人が奈緒と目を合わせた途端、ハッと表情を変えた。
「あ、どうも。」
「……」
知らない顔だ。
人違いだろう。
「誰?あのさわやか青年は。」
沙耶が聞いてくる。
「知らないわ。人違いよきっと。」
そのさわやか青年はちょっと首を傾げながら頭をかき、仲間にからかわれると、白い歯を覗かせがらメニューに目を移した。
「あぁ、あんな時代もあったよねぇ。」
ため息混じりに千秋が言った。
「なによぉ、千秋は彼氏がいるんだからいいじゃないの。 私達なんてお先真っ暗だわ、ねぇ奈緒。」
「そうよ、私も素敵な彼が欲しいわ。」
ふと隣の席に目をやると、さっきの青年が驚いたような、不思議そうな顔をして奈緒を見ていた。
……なんなの?
彼の視線は奈緒をイラつかせた。
「どこかで会いましたっけ? まったく記憶にないんですけど。」
「あ…いえ、はい、あ、すみません。」
「おい、しっかりしろよ純。お姉さんに見とれてんじゃねえよ。あはは。」
「邪魔してすみません。決して怪しい者ではありませんので。」
若者らしい軽快なやり取りに、沙耶と千秋は目を細めた。
「いいねぇ、諸君。青春だよね。あはは。」
沙耶が笑った。
「もう邪魔はしませんので。」
純の隣の若者が言った。