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愛のシンフォニー
第4章 それぞれの愛
「ううん、まだ」と美樹は首を横に振った。

「だろうね。なんとなくそう思った」
となぎさは煙草の煙を吐き出しながら言った。

「あたしだってヤリたいんだけど魅力ないのかな・・でもね、今度とくちゃんとデートするんだ。その時こそ・・」

美樹は幸せそうに笑いながら初対面の人にこんなにペラペラと喋っている自分が不思議に思えていた。きっとなぎさに自分と同じ匂いを感じていたのだろう。

「なぎささんはどうして風俗の世界で働いてるんですか?ごめんなさい余計なことを・・湊汰さんはイヤじゃないのかなと思ったりして・・」

ふと、自分が風俗嬢になって他の男とエッチなことをしたりしたら徳造はどう思うかなと思ってしまったら余計なことを口走ってしまった。
徳造がおカネのために他の女の人に体を売っているのは全くイヤじゃないかと言われれば微塵ぐらいはイヤかも知れない。でも、徳造は体は売っても心は売っていないのはよく分かっている。
もしも自分が風俗とかで稼いだら徳造は他の女の人と不本意なことをしなくてすむのかも知れない。でも、そんなことをしたら徳造はどう思うのだろう・・。

「あたしはアイツの芸が大好きなんだ。だからアイツのためならどんな仕事だってできる」

なぎさは煙草の煙を吐き出して自分たちのことを語り始めた。

湊汰の芸が気に入っておっかけ状態になっていたなぎさは押しかけてくる形でこのアパートで湊汰と同棲を始めた。このあたりはなんだか徳造と美樹に似ている。

ところが、湊汰も売れない芸人で生活費もなければ家賃も溜めこんでいた。

ババアのヤリ部屋でセックスをしてそれがアダルトビデオになって販売されたこともある。

ババアは生活費もない湊汰のことを心配してくれてなぎさにAV女優か風俗を勧めてくれた。不特定多数の男どもに裸や見知らぬ男とのセックスを見られるAV女優よりも風俗の方がいいと思った。

ババアはなぎさの意思も汲んでくれて本番行為のない風俗を紹介してくれた。そこは以前にこのアパートでお世話になっていた男が経営する店で待遇もよく、よくあるブラックの店ではない。

それでも湊汰はなぎさを風俗で働かせる羽目になってしまったことが辛いみたいで涙を流して土下座をした。

今はヒモ状態でもいつか売れたらちゃんと結婚しようというのがふたりの約束。だから湊汰が裏切ることはないと信じている。
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