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毒蜜喰らわば
第2章 彼と私


夜、ワンルームマンションの小さなベランダから流れ込んでくる風は
心地よかったが、私の中のモヤモヤとした気持ちは停滞したままだった。

みんなが笑顔で良縁を祈願しているその輪の中に
自分もすんなりと溶け込んでいたのに。
もしかしたら自分にだけ訪れた変化なのではないかと不確かな想像をしてしまう。

テーブルの上に並べた恋願神社の御朱印と倦怠封じ守を眺めながら、
咲枝の言ったように縁を結んでくれる兆しだったらいいのだけれどと
大きくひとつ、肩で息をした。

その時、スマホが電話の着信を告げた。
この音は、雅治専用の音。
画面に「雅治」の文字が存在を示していた。

「もしもし」

「もしもし・・」

電話をくれるのは嬉しいが、話すことがあまりない電話なのは
少々の苦痛を感じる。

「今日、なにしてた?」
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