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第7章 卒業生の彼女　坂上依那

　新社会人につきものではあるものの“がんばれ”とか“泣き言いうな”なんて言葉は逆効果にしかならない。
　経験して乗り越えたものだけが“今が一番辛い”ということを知るのだから。


「疲れたか」彼は優しく依那に聞いた。

「うん、けっこう疲れた」依那は瞳を伏せて何かを思い出しているようだが、良い思い出でばかりではないことが表情から読みとれた。

　彼はゆっくり立ち上がると依那の後ろにまわり優しく肩に手を置いた。

「いいか？」と彼が声をかけると「なに？」と依那が返す。
「肩が凝ってないかみてやる」彼はゆっくりと依那の肩を包み、優しく圧をかけていった。