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ネトラレレ
第8章 依那の唇
 
 心拍数とともに呼吸も速くなりそうで、必死に平静を装おうとする彼の耳元で依那は・・・

 「先生の声、もっと近くで聞きたい」と囁いた。

 依那はゆっくりと彼の左手を自分の胸元へ引き寄せ、自分の左胸と彼の左手を両手で優しく包み込んだ。

 彼は必然的に体勢が前のめりになり、依那の首筋に顔が近づく。
 依那の首筋に彼の熱い息がかかり、依那は彼の方を振り向きその瞳をとらえた。

 彼の目の前に潤んだ依那のすがるような少し茶色がかった瞳、目線を落とすと艶のあるオレンジ色のぷっくりとした唇。

 その唇がゆっくりと動き“せんせい”とつぶやいた。

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