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第3章 助手席の女（ヒト）

彼女は今日の旅行が不安でたまらなかった。

　彼と結婚をして3年間怒ったり喧嘩したり泣いたりもあったが、彼と別れようとは一度も思わなかった。

　何があっても横にいるのが必然になってきたからだ。

“でも”今回の旅行だけはどうにもこうにもしっくりこない。

　今まで一緒にいて彼の性格は把握しているつもりだった。

　つきあっている期間も含めると私以上に彼のことを理解できる人はいないと自負できるほどわかっているつもりだったのに。

　初めて彼から私を旅行に誘ってきた。それも日付も場所も予約も決めて。