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第16章 湯布院の夜

　今まで旦那の浮気話をきいていたのに、まるでワイドショーから流れてくる芸能人の不倫騒動でも楽しむかのような彼女の反応にに彼はたじろいでいた。
　さらに詳細な点まで根掘り葉掘りほじくり返されたのだからたまらない。


　彼女もそんな彼の、身の置き所のない焦りに気が付いたのか、微笑みながらこう言った。

「私ね、あなたのことが大好きよ」

　彼はますますわからない、といった表情をした。