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かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~
第28章 BLUE BIRD
目を覚ましたマリアが

感じた感覚

そして…医者の診断




その残酷な事実がわかった時




俺は・・・マリアに

かける言葉をなくしていた





これから、詳しく調べて

見込みのある治療や…手術

リハビリ

試す価値のあることは沢山ある

やってみなければわからない



・・・なんて



医者は、言うんだ




〃やってみなければわからない〃



逆を言えば

全てを尽くしても

一生治らない

治せる保証がない



根本的に治せる方法も

見込みも

無いに等しい



むしろ、それを

やんわりと…告げているような

医者の残酷な言葉





『参っちゃうな・・・』




マリアが…笑顔を作ってる中に

涙を浮かべて呟いた






こんな状況で

〃はい、そうですか了解〃…なんて

受け入れて

ケロッと切り替えれるやつなんかいない






だけど・・・マリアは



なのにさ・・・マリアは



笑うんだよ



俺に・・・






『ふふ・・・参っちゃうな』







『・・・』








『ゆぅちゃん・・・ごめんね?』








『は・・・』








『お仕事のこと・・・

ゆぅちゃんにも…ご家族にも

私・・・なんてお詫びしたら良いか』










何言ってんだよ・・・マジでこの女







『天秤に…かけるに値しないだろ

そんなこと・・・

くだらねぇこと言うなよ』







『守れなかった・・・』







『いい加減にしろ・・・』





本気でヤバい状況から

俺を守ってくれたのは…マリアだった


なのに、その事は

ちっとも…なんだとも思わないような

口振りでさ






『引っ越し・・・
しないといけないんだよね

ごめんなさい・・・
行き先は…聞いたらダメなんだよね

準備・・・間に合ってるの?
毎日…お見舞い・・・』







『マリア・・・口塞ぐぞ』






『ゆぅちゃん・・・』







『飲みモン買ってくる・・・』






俺は逃げるように病室を出た






心が・・・痛くてたまらなかった
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