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かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~
第29章 果たされぬ・・・約束
『エリカ・・・ちょっと待て

とりあえず…座れ・・・な?』



俺は、胃の奥に沸き上がる
ムカムカとした胸焼けみたいな感覚を

少しごまかしながら
エリカをソファに座らせた




『エリカ・・・それ…』






『ぇ・・・なに?~べつに

平気だし・・・痛くないし』








『誰に、やられた…?』







『ぇ・・・』







『両親(おや)か…?

だからお前…家出してんのか?!』






『は……?ねぇ…なに?…イキナリ』







『誰にやられた?』







『転んだだけって・・・言っ』








『誰にやられたっ・・・!?』









びくんっ・・・






エリカが一瞬…怯えた顔で俺を見て

まばたきして目を反らした







『親じゃないのか…?』





『・・・帰って・・・ないもん』







って事は…








『〃彼氏(オトコ)〃・・・か?』








ピクッ…



小さな肩が・・・微かに震えた







『べつに…ちょっとケンカしただけ

たまたまだもん・・・もう平気だし』






『たまたま・・・か』







『そうだよ…彼氏だって

エリカの事をキライなんじゃないもん』






うつむいて話すエリカの
腕や脚を…さりげに見ながら

俺は…






『は!?…っちょ…なにすんだよっ?!』



『・・・』




うつむいて
手イタズラしてるのを払いのけて
エリカのTシャツをめくりあげた






『~っざけんなよなヘンタイっ!!
なんなんだよ!?

所詮アンタもそーゆーオトコかよっ!!
ふざけんなオッサン!!!』






思いがけぬ俺の行動に
顔を真っ赤にして再び悪態つくエリカ



俺は…それをシカトして
めくりあげたTシャツを…下ろした




『〃これ〃が・・・たまたま…か?』





『~~っ…』





腕や脚…目立つ所には何もない


でも


Tシャツめくった、そこには






エリカのお腹には

殴られたか、蹴られたかしたような

青黒いアザがいくつもあった
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