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かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~
第30章 翼を・・・ひろげて
どこの誰だかわからない・・・


そりゃ、お互い様だ




だけど、どこからともなく現れ

アクシデントの回避に
大きく力を貸してくれた人

この世のどこかに確実に存在してる
姿の見えない人


コメントに返信して
御礼を言っても、何か話を振っても

それと言って自分の事は話さない
寡黙なユーザーだった

何か愚痴るわけでも
自分の話をするでもなく

ただ単に…純粋にブログ見てくれてた
そんな様子を思わせる…

必要な時にだけ現れて
皆を一瞬で説得して
あとはすっぱりと姿を消したかのような…




カタカタカタ・・・




YOU Re:コメント

MIRRORさんへ・・・・・・





カタカタ…カタ



『・・・』


俺は書きかけたコメントを消去して
パソコンを閉じた



お互いに…深く詮索する事はない


知った所で会うこともない
皆、お互いにそうだから


お互い…どこの誰かも
わからなくて良い

知る必要もなければ
知らなくても良い

感じ取れる
その人柄とやさしさに感謝する

それだけで良い







俺は外へ出た








すっかり春・・・ってやつだ



俺が渋々…向かうのは不動産屋



まぁ…実家にいてもいいんだけどな
一人のが楽なんだよ、もう

俺は再び実家は出ようと
少し前から家を探していた



『同じエリアで良さげなのがあれば
今日あたりに決めていきます』


「かしこまりました
何件かピックアップしてありますが
こちらなどいかがでしょう?」




『・・・』



とりわけこだわりはないが
内覧の目星をつけてるうちに

不動産屋に進められたのは
なんだか見覚えのある物件





まさかの







前に俺が住んでたアパート・・・?(笑)?




「お気に召さないですか??」



『や・・・別に(笑)』




別に不便した記憶もないし
知らない物件よりは面倒くさもなくて
安心だ


ぶっちゃけ家探しだの引っ越しなんか
いつだって…常に
めんどくさいランキング上位にいるからな

何件か内覧する後に
まさかの懐かしいアパートを内覧にいく





懐かしい・・・ような

どこか少し・・・複雑なような気持ち
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