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かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~
第8章 ゆるされぬ想い・・・
俺の問いに
マリアは首を縦には振らない。

それは当然だと思う
こんな恐い思いをしてるんだから。

そんな恐ろしい家に
帰りたいワケはない。



だけど…横にも振らなかった。


マリアには行く場所がないから。





俺は、まず
それを先んじて決めようと思った。








『マリア?…病院と、警察には
行くのは嫌か?』




どこかに助けを求めるにも
病院で診断書をもらうなり

警察に被害届を出すのが
一番だと思った。



昨日のマリアの状態をみて
愚問だと思うが
一応確認する。




『・・・ぅん』


『ん・・・わかった』





『シェルターとか…俺よりは詳しいだろ?
それは、どう思う?』





『・・・話だけでも聞こうと思って
役所とか、前に行ってみたことあるけど

もうそのつもりで~…でないと
あまり情報はもらえなかった。

匿う所だから
あまり情報もらせないみたい

すごく緊急性のある人が優先とか…
その後のことは別問題だし』





『安心、安全・・・確実な
…気軽な選択ではないか。
マリアさ…実家は?』



『・・・』




『心配かけたくないんだろ?

でも・・・マリアが困ってることを
何も知らされないで、もしも
最悪の…大変なことでも起こったら

マリアの親だって
たまらないと思うぞ?

親とは仲いいんならさ…
一番、安心で確実なんじゃないのか

実家・・・どこ?
遠いの?』






『・・・日本の一番、北』




マリアが苦い顔をして
少しだけ笑う。
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