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かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~
第14章 薄汚いこと・・・
男に掴みかかりそうになった俺は
声の方に振り向いた。





『これは一体なんですかっ!!?』






玄関に立っていたのは

恰幅の良い中年女性…。





一目で何となく…察しがつく

おそらく・・・







『あぁっ!おばちゃんっ!?
ええとこに帰ってきてくれたわっ!

エライ目におうた!助けてぇなっ!?
この男がいきなりドア蹴破ってもうてん!

この寒いんに、気ぃ狂ってんで!
なんとかしてやぁっ』






ほぉ・・・随分と流暢な

しらばっくれぶりだな?






そして
この女性が…おそらく





『大家のおばちゃんっ!
ボーっとしてんとっ!

はようこのイカれたオトコ
つまみ出してぇな!

ケーサツ呼んでや?!
オレ恐ろしゅうてもぉっ!』









『それは…そうと、あなた

これはどういう状況なのかしら?』






大家さんである、おばさんは

部屋の様子…ぶっ壊れたドア

そして

俺とマリアを見ながら

言葉を失っていた。




あるいは・・・冷静に

現状を見ている?






『・・・ちょっと?あなた…
マリアちゃん・・・?!』






俺に支えられて震えながら
うつむいて…やっと立っている子が

マリアだとようやく認識したらしく
おばさんは更に驚いていた。




マリアの状態をみて…

おばさんはさすがに事の異様さを
察したように険しい顔をして男をみた



『おばちゃんっ!はよ助けて?!』




『ドアは…すぐに修理を呼びます。

だけどね、あなた…
どうして…こんなことになっているの?

説明してくれるかしら?』




『なんやおばちゃん!?
オレを疑ごうてんのっ?

何年の付き合いやと思うてんのっ?!
かなわんわぁ!

そ、そのオンナがっ
いきなり押し掛けてきて!
オレを〃誘って〃きたんや!!』





『おい・・・お前…っ』





『とんでもないアバズレやで!
そのオンナ!

せやのにそのオトコが…っ』






『ハァ・・・』


大家のおばさんは
呆れ果てたようにため息をついていた





『ゆぅちゃん…もぅ…いいから』



マリアが弱々しい小声で言う




『良いワケねぇだろ!コイツはお前に…っ』



『私が悪かったの…私が…だから、もう』



『マリア…!』
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