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かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~
第16章 瞬間(とき)の・・・悪戯
マリアの言葉に

散々小馬鹿にしたように
余裕こいてた旦那が

と言うか
その場がシーーンと鎮まる



俺は・・・と言えば

その旦那のすぐ横で
しりもちついたままのびてた(フリ)んだけど


口を挟むに挟めなくて…ってのは
もちろんあったんだけどさ



ホントのとこ言うと


なんかマリアに・・・圧倒されて
少しの間、傍観してたんだ





マリアがのびてる(フリの)俺に
旦那にバレないように視線を送る…





〃それでいい…早く逃げろ〃




俺も目で訴える・・・






『マリア…お前なぁっ』




プライドが傷ついたのか
ただ単に頭に血が昇ったのか
男がマリアに掴みかかろうとした…

『っ・・・』











『ちょ!ちょいちょいちょい!!!
オニーサンっ!!?』


『・・・!?』



『足!足!足!!!
足どけてっ!はやくっ!あ"~!?』




そう言いつつ俺は
ソイツの後ろから脚を掴んで止める






『お前っ!?・・・まだ…っ
~なんだって言うんだっ!!!』







『・・・っ』

『~~…』


〃早く・・・行けっ!〃





男の陰からマリアに視線を送り
合図する




『オニーサンっ!!?ここ!

ここ!ここっ!俺の〃コンタクト〃!!

踏んでるってぇっ!!

どーしてくれるんスカっ?!』






『なんなんだよっ!?・・・~

???・・・ないじゃないかっ!!?』






『やっべぇ~~マジかよぉ~…

俺、ド近眼なんすよー・・・あーやべぇ

帰れねぇし~・・・あ、一緒に

探してもらってイイすか?』







『ふざけるなよぉっ・・・!?』








(ちなみに俺の視力は……両眼1.2だけどね)






マリアが走り去ったのを確かめて
俺は男を離した




『……フンっ』





男が俺に万札投げて立ち去ろうとする





『あ、あった・・・あったんで大丈夫っす

ホントすんませんしたっ・・・』





俺は断って背を向け
チャリンコ起こしてさっさと逃げる




「橘さ~ん!何だったんですか?」


男の連れみたいなスーツ着た男が
駆けてくる


『フン・・・良い〃材料〃拾っただけだ』


マリアから取り上げた母子手帳を
スーツのポケットにしまって
男は去った…
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