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かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~
第21章 覚めない悪夢(ゆめ)・・・
『・・・』




・・・おい?






声に反応して目を開けると

地面から見上げた先・・・
俺の目の前には人影があった


大柄な男・・・その前に

小柄の

マリアの・・・後ろ姿






『カズキ・・・もうやめて』





『・・・』







マリア・・・ふざけんなよなぁ

まじでお前・・・






『どけ・・・』


『・・・どかない』



マリアは両手を精一杯伸ばして
突っぱねるように
旦那の胸板のあたりを押さえて
止めていた




『そんなにソイツを庇いたいか?』


『・・・』





マリア・・・バカだろお前

なに考えてんだよぉ



余計に血管ピクピク浮き出てんぞ

お前のダンナ・・・




せめて逃げりゃいいモンを

俺を庇ったりしたら

収まるモンも収まらねぇだろうが

ただてさえブチ切れてんだぞソイツ

そんくらい・・・わかるだろうが






『・・・ちがうよ』






・・・。







『人の…ためなんかじゃ・・・ない』








マリア・・・。









『私が……〃選んで〃決めたこと』








そう言うとマリアは
振り向いて…俺に近づいた






『マリア・・・お前…』




ふざけんな・・・





と、声をあげることが
出来なかった






『ごめん・・・ごめんね』


『~~~~・・・』




マリアがハンカチを出して
俺の頬にそっとあてた






『私が…決めていた

〃私との約束〃…だったから』






『・・・っ』




マリアは・・・俺がどんなに願っても

いつも言っていた〃その事〃を

曲げてくれなかった




出逢った時から…あの時からずっと

俺を〃巻き込まない〃と言って



どれだけ…ここまで追い詰められても

マリアは自分より

俺を優先した・・・



自分が・・・〃選んだ〃なんて言って




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