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かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~
第21章 覚めない悪夢(ゆめ)・・・
『っ…ハァ……ハァ…~~っ』


マリアがシーツを掴んで目を固く閉じ
苦しみ悶える



〃早く…おわって・・・〃




荒い息遣い…耳や首筋を舐めまわす音


『っ……』



ブルル…っ

っとマリアが震えた





『ハァ…ハァ……まだだぞ、まりあ

まだまだだ、うつ伏せろ・・・早く』




『~~っ…』





すでに膝を立てることも出来ないほど
ガクガクに震えるマリアを立たせて
カズキはいたぶるように突き上げる





パンパンパンパン・・・





マリアの腿を弾く音が
何度も響き渡る




〃早く…イって…〃










中々イカない夫は
何度も体位を変えて
私の苦痛を長引かせる





『ぅっ…っん…んっ…っあ、アァっ…』




『っ…っ…卑猥な声を…っ…出して

そんなに気持ちいいのか?』





『~~っ…っ、うっ…』




横暴で…一方的で
めちゃくちゃなセックスが
気持ちいい訳がない
勘違いも甚だしい…



そう言う私は
つい最近まで…そんな事にも
気づいていなかったけれど…



『・・・』


『っ…ハァっ…ハァっ』



ようやく満足した夫は
私に見向きもせず

さっさと服を着て
一人、夜風に当たり
タバコを吹かしに行く

冷たい・・・さみしい
私もそれくらいは思っていたと思うけど

それが普通だと思っていた
それしか…知らなかったから



だから・・・



あんなに、やさしい温もりがあることを
知らなかった



肌を合わせた後にあんなに…
優しくしてもらったことなんかなかった



あんなに心地よくて
幸せなことだって…知らなかった



同じ人間・・・同じ、男の人なのに





ダメ・・・思い出したら

忘れなきゃ…ダメなのに








ようやく夫から解放された
ベットの上で、こっそりと涙を拭う



思い出したらダメ…



あれは幻の日々…

こんな私の人生に
神様が・・・あの人がくれた

尊くて大きな…一瞬の幸せだったんだ



感謝して・・・忘れるんだ



振り返ってはダメ…




恋しく思うことは

大きな罪だから・・・
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