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かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~
第23章 逃避行・・・
『マリアっ…急ぐぞ』



のびてるオヤジに見向きもせず
俺はさっさと足を進めた


小鹿みてぇに…脚まで震えてる
マリアを、少し引きずり気味に




『~~っ…っ……っ』



『マリア・・・』





マリアは俺と繋ごうとした手を
両手にして俺の腕にしがみついた




マリアが…マリアに戻った



そんな風に思わせる

マリアの本音・・・




嫌だったに決まってる


怖かったに決まってる…


自分に…そんなことをした
クソオヤジに

二度と会いたくないに決まってる…





忘れたい…恐いことを思い出した




そんな風に怯えるマリア・・・




『マリア・・・もう、大丈夫だよ』


『っ…ぅ……ゆぅ…ちゃん…』




俺の腕にしがみついたまま
小動物みたいに震え続けるマリアを
ゆっくり歩かせながら
少し焦って改札に向かう





電光掲示板を見て…俺が目指したのは






『ゆぅちゃん・・・そろそろ…教えて?』





少し落ち着きを取り戻したマリアが
恐る恐る俺に聞いてくる





俺が目指したのは…終電間近の
混雑する路線のホーム






・・・ではなくて






『ねぇ…ホントにどこいくの?ゆぅちゃん…』







『ん・・・行き先?』



『?・・・ぅん、後で教えるって…さっき』



















『ふふっ・・・ん~…〃知らねぇ〃』













『・・・は???』






俺が目指したのは

ほとんど人の乗らない

どこか遠くまで伸びた

見慣れない行き先の路線のホーム





『~電車来た、マリア…少し走れるか?』


『ぅ…うん・・・でも』





電車の音がしてきたホームに向けて
マリアの手を引いて
階段をかけ登る











『目的地は、とりあえずナシ♪行くぜ?』








『えぇっ……!?』









目的地は・・・ナシ


現在未定




確実に考えてたのは


マリアと繋いだこの手を


絶対にはなさない・・・それだけ
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