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甘美な吸血〜貴方の餌になりたい〜
第2章 満月の夜に
妖しく微笑んだ彼は、空にあげていた手で、ゆっくりと私に手招きをした。
その手に導かれるように、私の体は自然に彼の方へ歩んで行く。
あぁ…なんて素敵な人…。
真っ直ぐ真っ直ぐ私は彼に近付いて行く。
そうまさに彼の体に、吸い寄せられるように。
彼の前に立つと、彼の腕に私の体はフワッと包まれた。
初めて会った人なのに、嫌な気持ちなんて、全くなかった。
寧ろ、腕の中で幸せさえ感じた。
私は、どうかしてしまったんだろうか…?
ふと、そんな気持ちも過ったけど、すぐにそれは、どうでもよくなった。