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甘美な吸血〜貴方の餌になりたい〜
第2章 満月の夜に
レンズ越しに、その人と瞳が合い、私の胸が高鳴る。
その美しさに、私はカメラを手から落としてしまった。
レンズ越しではなく、直に見る彼は更に言葉ではいい表せないくらいに、妖艶で美しかったから。
微笑むわけでもなく、ただこちらをジッとみつめる彼の瞳は、何故か燃えるように紅い。
そして不自然なまでに紅いその瞳に、吸い込まれてしまいそうな感覚になっていた。
今の私はまさに、魅了されている状態だった。
ボーッと見つめる私に彼は、やっとその表情を変える。
形の整った唇の口角が、クッとあがり紅い瞳に柔らかな光が宿った。
優しくそして、妖艶な彼の微笑みに、私の胸はドキドキとせわしなく鳴り続けていた。