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行こうぜ、相棒
第7章 No One Is To Blame



――双子の妹、リエとエリはよく似ている。

高校生の頃、エリは水泳部、リエは新体操部に属していた。それ以外でふたりを区別することは、友人だって難しかった。

何故ならふたりは、時に互いを入れ替わって生活していたからだ。

両親はその頃にはきちんとふたりを識別できていたけれど、家でも同じ洋服を着回し、同じ下着を使いまわした。そして一歩家を出れば、リエの鞄を持ち、リエのヘアバンドをつけて、リエのハンディワーカム(携帯電話)を持てば、そこにいるのはエリではなく、リエになった。

「ねぇ、聞いてよ、ヤマグチ先輩のコト」
そういうクラスメートに、リエのフリをしたエリが答える。
「ヤリたがりのヤマグチ先輩ね」
「やめてよー、そういう言い方」
コメントがすこし辛口なのはエリの本性かもしれない。でもそれをリエのチャーミングな笑顔を作って話せば、誰もが疑いなく会話をつづけてくれる。

エリはそうやって、リエのクラスのリエの机に座り授業を受けた。新体操部でバトンを回し、リエの友人たちと放課後にケーキを食べた。同じ時間にリエはエリの世界を生きた。

双子はワーカムで互いに連絡を取り合い、帰宅時間を合わせると、鞄やヘアバンドを交換して、もとの自分に戻った。そして何事もなかったかのように帰宅した。




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