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行こうぜ、相棒
第7章 No One Is To Blame









「もうやめようか?」

双子が19の春のことだった。
最初にそう言ったのは、リエの方だった。金曜日の夜、少し遅く帰宅したリエが、エリのとなりのベッドに入って、しばらくの間、口を開かなかった。
リエには生理が来ているのだな、とエリには分かった。今日の昼間は大学に行き、夕方からはレストランのバイトが入っているはずだった。
いつもなら明るく今日のできごとを語るリエが、少し沈んでいる。
人には分からないけれど、エリとリエは影と光、夜と昼の関係にあった。快活な笑顔で誰からも愛されるリエ。クールに澄まして落ち着いたエリ。双子は互いを入れ替え続けて、双方を演じ分けるためいつしか自然にそんな風に役割を分担していた。

今夜はその明るいリエが、暗く沈んでいる。
エリはそれを生理のせいだと思おうとした。
しばらくの沈黙の後、リエが口を開くまでは。

「もう、やめようか?」

白い天井は、窓からしのぶ街路の灯りにわずかに照らされ、うすぼんやりと光っているように見える。その、距離感のつかめない天井を見ながら、身体がそこへ静かに落ちてゆくような感覚を、エリは味わった。

リエの言葉は、双子の入れ替わり遊びのことを言っているのだと、エリはすぐに気づいた。



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