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行こうぜ、相棒
第1章 the kiss on my lists









部屋のブラインドからは、夜の街の灯りが差し込んでいる。
床に敷かれたラグに、その灯りが縞模様になっている。

気付いた時、エリはベッドに寝かされていた。
男がシャツを羽織っている後ろ姿が見える。
その肩から肘にかけて、不思議な熱帯の植物の文様のような刺青が見えた。

「それは…なに?」

エリの立てた声に、男が振り向く。
そして一言、

「モンステラ」

と答えた。

モンステラとは、何だろう。
エリには分からなかった。
それはなに、と聞こうとしたけれど、男は上着を羽織って部屋を出て行こうとしていた。

そんな、急に。
エリは焦る。
今までの男たちとまるで違うやり方に、心が追いついてこないのだ。

男は振り返らずに部屋を出ようとした。

「また会える?」
「さぁな」

そっけない声が背中越しに戻ってきた。
エリはその先に続けるべき言葉を持たなかった。
何故なら会いたがるのは常に男たちの側だったから。エリはそれをあしらうことしか、知らなかったから。

男が部屋のエントランスへ向かって歩き出した。

「名前は?」

エリが必死に絞り出したのは、そんな質問だった。
男が振り向く。
そして、エリを見つめる。

あの目で。
あの、時を止めてしまう瞳で。

「モンステラ」

そう、呟いた。
そして二度と振り向かず、部屋を出て行った。



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