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花菱落つ
第8章 東光寺
「明朝には躑躅ヶ崎館より御酒を持った御使者が参りましょう」

 この期に及んで信玄が義信に与える酒に、意味がないはずがない。

 ――毒酒だ。

 それを飲み苦しみつつ死ぬか、酒を飲まずに潔く自ら死を選ぶか。いずれにせよ、義信に死を命じることに他ならない。

「そうか」

 幽閉されて早二年。歯向かう者に容赦のない父にしては、意外に遅い決断だったと、義信は他人事のように思った。

「あいわかった」
「では――」

 凪が表情を緩めた。固く強ばっていた身体の力が抜け、口許がほころんだ。

「いや、私はここから逃げはしない」
「なぜ……」

 凪は驚いて義信を見つめた。逃げ出さないと明日には死ぬ。義信にもわかっているはずだ。凪には追っ手に見つからずに逃げる算段があった。義信を逃がし、正室と息女を逃がし、親子仲睦まじく暮らしてほしいと、願っていた。
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