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花菱落つ
第2章 真田源五郎
「真田源五郎にございます」
「望月千代女じゃ。おや、そなたはいつぞや躑躅ヶ崎館で会うたの。真田の者であったか」
「は、はい」

 禰津の館に通されて待つことしばし。禰津の里の怱領であり「ののう」の頭である望月千代女が一人の若い巫女を従えて現れた。千代女は二十代半ばほどの、小柄で妖艶な女性だった。そして源五郎は以前、一度だけではあるが躑躅ヶ崎館で千代女を信玄の元に案内していたことがあったのだ。あの時の女性が千代女だったとは、千代女に言われるまで気づかなかった。

「源五郎と申したな。これなるは我が手の『ののう』。甲府までよろしく頼む」
「凪と申します」

 凪と名乗った「ののう」は千代女より背が高いが、年の頃はおそらく源五郎より三つ四つ下であろう。切れ長の目が美しい、ほっそりとした美少女だった。だが年若く清楚に見えても凪は「ののう」。忍びの修練も積んだくの一なのだ。隙を見せるようなことはできない。

「お任せください」
「では凪よ。行くがよい」
「行ってまいります」
「うむ」

 源五郎は凪を伴い、千代女の元を辞した。そして館を出、里を横切る細道を甲斐へ向かって歩き出した。

 時は永禄七年、風薫る五月のことだった。
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