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堕天使 1st gig.
第30章 レセプション
宗司の今回の演習はあくまでも俺のサポート役で俺の小間使いになるからだ。

普段から俺には至れり尽くせりの宗司だから、そういう事には慣れているのだが俺はなんとなく宗司に

『悪いな…。』

と言ってしまう。宗司は俺に

『僕は貴方のバディ(女房)です。』

とだけ言うと自分の部屋に自分の荷物を置きに向かっていた。

部屋は個室と言ってもそこは下級指揮官だから、食堂などは一般兵士達と同じになり、大佐から上の上級指揮官とは扱いが全く違う。

俺にとっては「貧乏くじ」とかと顔を合わせる上級の兵舎よりもこっちの方が有難いのだが、指揮官には一般兵士が気を使うからあまり部屋を出られずに引き篭もりがちになってしまうのも、それはそれで嫌な感じだった。

まだ演習の2日前だというのに

さっさと終われ…

と2週間の演習に向かって叫びたくなる俺だった。

翌日、演習の前日はメディカルチェックというやつだ。要は医師による健康診断を受けて演習参加に問題がないという許可を貰うのだ。

医務室に入り、俺は医者に向かって

『何やってんだ?』

と聞いていた。医者は笑いながら

『演習に来たに決まっとる。』

と俺に答えていた。水戸軍医、通常「黄門様」。白髪頭でヨレヨレの白衣を着た小さな老人。

俺は始め、名前が水戸だから黄門様だと思っていたが、五十嵐から

『あのじい様、女を買いに行って性病にかかった隊員達に、注射で済む薬を使わずに、わざと見せしめに全員の尻にじい様自ら座薬を入れやがったんだ。』

と大戦時にじい様のあだ名の由来を教えられていた。

つまり、「肛門様」が正しいあだ名なんだ…

とか思った俺は出来る限り医務室には近寄らないようにしていた。

それでも、春の一般検診や冬のインフルエンザの予防接種などには嫌でも黄門様に会わなければならない時があり、一応じい様と俺は顔馴染みになっていた。

『海外派兵に行ってなかったか?』

『先月戻ったら、演習があると聞いたからの。』

『わざわざ休暇中に、演習を志願したのかよ?』

『儂の専門は内科じゃからな。』

とじい様が言っていた。
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