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堕天使 1st gig.
第3章 現場
しかも、テロの場合、現場では犯人の射殺許可が自動的に降りている。俺が突入不可能と判断した場合、人質を見捨てる覚悟でハヤトはテロ犯を狙撃する。

だが、今回は現場の状況があまりに悪い。会議室の窓が隣接するビル側にあり、狙撃ポイントが見当たらないとハヤトが俺に報告しているのだ。俺はハヤトに

『了解、鷹はβに合流して、βの指揮に入れ。』

と指示を出す。βの現場はホテルだから狙撃ポイントがここよりかあるはずだ。

βのリーダーにハヤトを回す指示を無線で飛ばし、俺はすぐに小雪に無線を入れる。

『αリーダー、雪、目視不可だ。』

と伝えると小雪からは

『了解~。チャラ男と遊んで来るね。』

といい加減な返事が返って来る。本来なら小雪はハヤトのバディだ。だからハヤトが狙撃ポイントからターゲットを目視すれば、小雪はそこから犯人が抱えている爆発物の分析に入る。

爆弾の種類、形、解除可能か不可能か?それらの分析情報を俺に伝える役目が爆発物専門の小雪だが、外から目視が不可能と判断した今は、小雪は小型カメラの設置を考えている。

設置というよりも、実際は小型の無人偵察機を飛ばすのだ。窓や通気口を使ってカメラ付き偵察機を飛ばし、中の状況を確認する。

偵察機のリモート範囲を考えて、小雪はギリギリまで現場に接近する事になるからチャラ男の雄太と涼宮をバックアップに連れて行くと俺に言っている。

付き合いの長い慣れきった隊員ばかりだから俺に報告する時は、いい加減で適当な言い方がやたらと多い。俺に対して丁寧に真面目に報告する奴は宗司と涼宮くらいだが、真面目に報告されても俺の方が真面目に聞いていないのがうちのやり方だった。

小雪の報告を待つ間、俺は宗司が入れたコーヒーを呑む。既に時刻は日付けが変わる前、爆発予定までは後21時間。

宗司が

『まだ様子を見るなら食事を入れますか?』

と俺に聞いて来る。俺は宗司に

『そうするか…。』

と言ってから無線に向かって

『αリーダーより、βリーダー、γリーダー。』

と無線を飛ばしていた。すぐに各リーダーから

『こちらβリーダー。』

『こちらγリーダー。』

と返事が返って来た瞬間だった。
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