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第35章 嘘

俺はゆっくりと五十嵐に

『そうじゃないんだ。五十嵐さんは信用しているし、俺と宗司じゃどうしようもないから五十嵐さんに助けて欲しいのは事実なんだ。』

と言っていた。五十嵐は

『それで？』

と話しを促して来た。俺は

『ただ、話しの内容があまりに個人的な事だという事と、俺ですら未だに理解出来ない信じられない話しがあったりして、どう説明していいのかわからないんだ。』

と答えていた。五十嵐は

『それでも、とりあえず話してみろ。まず話しを聞かん事には助けてやりたくても助けてやれん。』

と言うが俺はまた黙ってしまっていた。宗司は俺が話すと決めない限り口は出さないと決めたようだった。

結局、焦れた五十嵐が

『情報部隊長を舐めてんのか？個人情報なら守秘義務くらいはわかっとる。』

と苛立ちを見せ始めていた。俺は観念して

『リナの事だ。正確にはリナの過去と関係があるかもしれないという程度の話しだ。』

と五十嵐に答えていた。五十嵐は

『嫁さん、確か記憶がないんだっけな？なら尚更調べてやるべきじゃないのか？調べて必要がない話しだと判断すればそのまま闇に葬ればいいだけだ。』

と言っていた。俺は宗司に

『説明してやって貰えるか？』

と言っていた。俺が話すと漫画みたいな話しになってしまうが宗司がちゃんと説明すれば、実験の事などありえない話しでも五十嵐にちゃんと伝わるような気がしたからだった。

宗司はポツポツと五十嵐に説明を始めていた。まずは宗司が見つけた写真の事、その写真について俺と２人で宗司の親父さんからとんでもない話しを聞いた事、だからリナの過去は２度と探らないと決めた事、だが、その実験の関係者が死亡した事実が出て来た事を宗司は順を追って五十嵐に説明をしていた。

五十嵐は宗司の話しをしばらく黙って聞いていた。宗司の話しが終わると五十嵐は

『うーん…。』

と唸っていた。しばらくして五十嵐は俺に

『情報ってのはな、自分が知りたい事実以外のものも出てくる時があるんだ。赤羽はその全てを受け入れてでも調べたいって覚悟はあるんだろうな？』

と確認するように聞いていた。