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堕天使 1st gig.
第35章 嘘
別段、これと言った出来事もなく、ただ俺が仕事から家に帰ると家の中がとんでもない気温になっていて、何故か夏の演習の時に着ていた服を着た美優がやはり玄関に向かって俺を出迎えに飛び出して来た。

『この暑さはなんなんだ!?』

『あーい!』

と美優とはまともな会話にならないと判断してからリビングに俺が向かうと真冬だというのにタンクトップにミニスカート姿のリナが台所から

『おかえり。』

と言っていた。

『この気温はなんなんだ?』

『エアコンが壊れちゃって48度から下がらないの。』

とリナが困った顔をしていた。エアコンを切りたくとも床を這い回る美優には寒いだろうからと少し窓を開けて換気はしているがどうにもならない状況だと笑っていた。

うちの電化製品の半分が俺が軍に入ってから買ったものが多いから俺はリナに

『エアコンもだが、洗濯機とか冷蔵庫とかまとめて買い直して構わないぞ。』

と言っていた。リナは

『壊れたら買い換えるよ。明日はとにかくエアコンを買いに行って来るね。』

と笑っていた。

その程度のトラブルしかない俺なのに妙に落ち着かずに自分がどうして良いのかすらわからないまま我が家は新年を迎えていた。

イベントを嫌う俺だから、新年だからとリナも特別な事をやろうとはしない我が家だった。

誕生日もリナは記憶がない事を思い出すし、俺は親父やお袋を思い出すだけだからとお互いでやめようと決めていた。

だからうちのイベントはクリスマスに俺がプレゼントを買ってやる以外は全く何もしない家族だった。リナが美優を抱っこして

『美優が誕生日をやりたいって言ったらどうする?』

と聞いて来た。俺はリナに

『どうしてもやりたいなら仕方ないが、美優は俺とお前の子だから多分要らないと言うぞ。』

と適当な事を言っていた。リナは美優に歯が生えて来たからと蒸したジャガイモを潰したものや人参などを少しずつ美優に与えるようになっていた。

美優はやはり頭が良く、タカコトだがご飯を

『まんま。』

と言い、お気に入りの熊のぬいぐるみを

『くうくう。』

と呼ぶようになっていた。
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