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堕天使 1st gig.
第5章 休暇
嫌がるリナを気にする事なく男が一方的にリナに話しかけているから俺はリナを知っている男かと考えてから

『この子になんか用か?』

とひとまずは穏便に男に声をかけてみた。如何にも学生でチャラい男はいきなり

『軍人がでしゃばる話しじゃねぇよ。』

と鼻で笑うように俺にいきがって来た。

ただのナンパかよ…。

そう思った瞬間、リナの為に慣れないことを散々やって疲れていた俺はキレていた。

たかが素人の学生のガキを相手に俺は腰の拳銃に手をかけて、ありったけの殺気を出してから

『俺の女になんか用かと俺は聞いている。』

とゆっくり低く聞いてやる。素人相手に銃を見せて威嚇するとか本来なら始末書ものだが、キレやすい俺にはそんな事は日常茶飯事だ。軍人を怒らせたと悟った男はさすがに狼狽えて

『別に、1人で泣きそうにしてたから、声をかけただけだ。』

と俺に言ってからすぐにこの場を立ち去っていた。男が自分の目の前からどいた瞬間、リナが

『アルト!』

と俺にしがみついていた。

『馬鹿かお前は!?こんな場所で泣いてたら次から次に変な男が寄って来んぞ。』

と俺はリナを思いっきり叱っていた。リナはやはり俺が言っている事の意味がわからないという顔だから俺は叱るのを諦めてリナにクレープを渡してやっていた。

さっきまで泣きそうだったリナはすぐに機嫌を治してニコニコしながらクレープをかじり始めていた。

そうやってリナがクレープを食う間、ベンチに2人で座って俺は公園を眺めていた。

公園の中を子供が何人か走り周り、母親達が幸せそうに子供を眺めている。

そんな光景を眺めながら俺は日本は少子化時代から貧困時代に突入して、確か子供はほとんど居ない状況だと学校で習ったような気がしていた。

今は大戦が終わったから、なんとか貧困から脱却し始めた日本は昔に比べて子供が少しは増え始めているとかどこかの誰かが言っていた。

俺はそんな当たり前の世間を知らず、平和で幸せそうな日常を知らない。俺の隣で無邪気にクレープを食べる記憶がないリナと記憶があっても無関心な俺は変わらない存在だ。

過去はどうでもいい…

今はリナが笑っていられる未来だけを作ってやりたいとだけ俺は考えていた。リナがこの先もずっと笑っていられるならそれだけで構わないと俺は思っていた。
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