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堕天使 1st gig.
第5章 休暇
人混みを動き回るのにまだ慣れていないリナだから俺は休憩がてらに駅前の公園に行ってみた。今日は天気が良くしかも戒厳令明けだから公園にも人が割りと居る状況だった。リナが俺に

『アルト、あれ何?』

と聞いて来る。リナが指差す方を俺が見るとリナみたいな年代の女の子が2人、クレープを嬉しそうにかじっていた。リナに俺は

『リナも欲しいか?』

と聞くとリナが目を輝かせてうんうんと頷いて来る。ちょうど昼飯時だから、リナもそろそろ腹が減っていたらしく、俺はリナを公園のベンチに座らせて

『そこで待ってろ。絶対に動くな。』

と言い聞かせてから俺は公園の入り口でワゴン販売に来ているクレープ屋に向かっていた。ベンチで1人にされたリナは不安な顔でずっと俺を見ていた。

クレープ屋には女の子ばかりの行列が出来ていた。そこへ軍人が並ぶとやはり違和感があるのか、女の子達が不思議そうに俺を見る。

俺の順番にクレープ屋の女店員が

『何になさいますか?』

と聞いて来る。正直、クレープ屋のキラキラと可愛いカラフルなメニューにやはり俺は目がチカチカして来やがる。

『とりあえずイチゴが入ったやつ…。』

と俺がぶっきらぼうに答えると店員は笑いながら

『イチゴ生クリームでよろしいですね?お一つでよろしいですか?』

と聞いて来る。たかが買い物だというのに俺にはそれが拷問にすら感じて来る。

『それでいい。』

とだけ言って今はとにかく早くこの状況から逃げたいとばかりに俺は先にさっさと金だけ払っていた。

正直、誰かの為にこうやって買い物をするとか俺にとっては生まれて初めての経験だ。

そもそも自分の為の買い物すらほとんどして来なかった俺はこういう経験はリナとあまり変わらないレベルなんだとつくづく思い知らされた。

クレープ屋の店員が器用にクレープを巻き、それを俺に手渡して来るから俺はクレープを受け取るとすぐにその場から逃げていた。

無事に買えたクレープを持ってリナが居るベンチに行くとリナが知らない男と話しをしていた。いや、リナは男に対して露骨に嫌な顔をして今にも泣きそうになっていた。
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