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【Onlooker】~サラが見たもの~
第3章 イケナイ、男(ひと)?

 紺野の前でベッドに腰を下ろした女が――なにをして――その音を鳴らしているのか。

 それはもう、サラにだってわかっていた。否、それをわかり過ぎるくらいに知らしめるため、女は唾液の交ざるそれら音と交互に、それに見合う淫らな言葉を発してゆく――。


「あん……とっても、素敵よ」


 ちゅ……ちゅぽ。


「うふ、どんどん……硬くなるの……わかる」


 あむ……くちゅり。


「ほら、もう……お口に入りきらない、くらいに……」


 りゅぷ――つぷん。



「……」


 サラは呆然としながら、それらを聞き入れていた。できることなら耳を塞ぎ、眼だって閉じてしまいたい。

 だが、それをしたら自分は、この空間での存在意義を失ってしまう。だから、それだけはしたくなかった。そう思った時、ふとさっきの紺野の言葉が脳裏に浮かんだ。


『僕のこと、見ていてくれるんだよね――お嬢さん?』


 そうだ。今日のクライアントは紺野涼である。サラは女のことばかり気にして、まだ彼のことをあまり見ていなかったことを省みた。

 そして、さっき覚えた違和感の正体を少しでもわかろうとして、サラは目を凝らした。

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