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【Onlooker】~サラが見たもの~
第3章 イケナイ、男(ひと)?

 そうした時――。


「――!」


 紺野は肩越しに振り向いた横顔で、またサラに視線を送っている。

 その表情はそこはかとなく寂しげであり、受けている愛撫の快感に溺れてる感じは全くしなかった。それ処か、何処か上の空で空虚なのだとサラは思った。


 ねえ、イケメンさん……私、どんな貴方を見ればいいの……?


 重ね合わせた視線の中で、サラは静かに問う。


「……」


 その答えはきっと、言葉にできない想いなのかもしれない、と思った。サラはその涼しげな眼差しの中に、彼自身の如何ともし難い、そのような得体の知れない想いを感じ取る。

 だが、その正体までを知ることは到底、叶わなかった。

 と、その時。


「もう……してあげてるのは、私なんだから」


 紺野がサラを気にして自分との行為に能動的でないことに、今度は女がその機嫌を損ねたようだ。

 サラはオンルッカーになり、幾つかの場面でセックスに及ぶ男女の姿を見てきている。他人にその行為を晒すという時点で、その人々の心はなんらかの『歪み』を生じさせていると考えるべきだ。

 サラは少ない経験の中で、そう学んでいる。

 しかし、それでも異性と交わろうとすれば、そこには興奮が伴う。高い熱量を帯びないことには、そこに至る理由がないのだ。

 だが、イケメンさん――紺野涼の場合。


「……」


 終始、冷めている。凍てつくほどに、冷めきって見えた。そして、その眼差しですら、彼の想いを読み取らせてはくれない。

 普段に話した時とまるで違っていた。サラのことを柔らい笑顔で見つめてくれた、その温もりが今は、まるで――。

 そして――それは二人が場所をベッドの中に移してからも、同じだと感じることとなった。

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