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【Onlooker】~サラが見たもの~
第6章 共にする、一夜?

「そういう夜……?」


 サラにはまだ、紺野の言葉の意味がわからなかった。

 紺野から「見つめていてほしい」と懇願され、サラはそれを了承している。けれど、それがどういうこと――どこまでのことを示すものなのか、正しく認識してのことではなかった。

 だから、もし仮に。紺野が今、在るベッドの中に、自分が誘われた時。それを自分が拒絶するのか、或いは受け入れるのか。自分の気持ちすらも、整然とはなっていない。

 只、そこはかとなく増してゆく緊張を感じながら、速まりゆく胸の鼓動のリズムを何処か心地よく感じて。サラは静かに、次の言葉を待った。

 すると、紺野は――


「もう、僕は……自分の心と体の矛盾に耐えられそうもない」


 と、言い。


「サラさんに、ひとつ嘘を言った」


 とも、話した。

 それに問い返すことなく、サラはその横顔を眺めた。また暫く待つと、紺野はポツリと言う。


「僕は今夜――数カ月ぶりに射精することになるだろう」

「え?」


 一瞬、裸で結ばれゆく自身と紺野の姿を思い浮かべ、一際高くトクンと心臓が跳ねた。が――


「夢の中で、ね……」

「……」


 サラは上気した顔で、ふっと小さく息をついた。

 以前『射精ができない』と語っていたことに対しての、それが嘘なのだろうと理解しつつも。それを即座に“夢精”という現象に結びつけることが、サラにはできない。

 だから、紺野は自身の想いの一部を絡めるように、こう話を続けていた。
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