この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
【Onlooker】~サラが見たもの~
第6章 共にする、一夜?

「僕が『イケない』と話したのは、あくまで意識下でのこと。セックスでエレクト(勃起)しても決して射精には至らない。だから身体ではなく、これは心の問題なんだ。そして、その障壁となる想いは、以前に話した通りだよ」

「妹さん、の……?」

「うん。そうだね」


 まるで悪びれずニコっと微笑んだ紺野の顔に、サラはズキンと胸を痛めた。

 初対面の時にサラを轢きつけた、その“イケメンさん”の笑顔。しかし今は、その奥にある想いを知ってしまっているから。


 なのにどうして、そんな顔で笑えるんですか?


「……」


 サラは口から零れそうな言葉を、寸前で呑み込んでいた。

 暫しサラを愛おしげに見つめたままに、紺野は言う。


「そして、今夜の夢の中に“潤”は現れるだろう」

「どうして?」

「わかるんだ。駄目だと思うほどに、それを望む自分がいること。そして僕は、セピア色の過去の情景の中で、自らの歪んだ欲望をぶちまけることになる」

「それって……」

「最高の快楽さ……だけどそれ故に、最高の苦痛が心を蝕む。もう、正気を保っていられないほどに、ね……」


 紺野涼は、その妹の死に、大きな罪悪を覚えて止まない。だからこそ、苦痛なのだ。射精できないこと、射精すること――その、どちらも。


「……」


 サラは以前に聞いていた、彼と妹とのエピソードを踏まえつつも、今の紺野を見つめてゆく。その心の傷の欠片を辛うじて捉えながら、そのもっと奥を見据えようとして。


 でも、知って。私は“イケメンさん”に、なにをしてあげられるの……?


 考える。だが、答えを簡単に導けるわけもなかった。すると――


「当初の僕は、サラさんの目に責められたい――そう感じていたのかもしれない。だけど、今は――」

「今、は……?」

「妹と同じ、その眼差しに……僕は、やっぱり……」


 紺野は思い直したように、ふっと微笑み。そして――


「今夜は……一緒にいてくれて、ありがとう。おやすみなさい……サラ……さん」


 そう告げると、その瞳を静かに閉じた。


「……」


 サラが見守る、その前で――。

/456ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ