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【Onlooker】~サラが見たもの~
第6章 共にする、一夜?


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「あれ……?」


 ふとした時に、さめざめと涙を流している。最近そのようなことが幾度かあったなと、白隅サラは思っていた。そして、今もそうだった。

 頬に伝った涙を指先で拭い、そんな自分を変だな、とは感じてはみるのだけど……。

 薄暗いホテルの一室には、弱い照明を受けベッドが浮き上がって見える。そこに横たわる紺野涼は、もうとっくに夢の中の住人であり。サラはその傍らに座り、その様子を注視しているのだ。

 だけども。今のサラは、よく見える目をしてはいるけれども。それがオカルトや超常的な力ではないから、当たり前のこと、紺野涼がどんな夢の中で彷徨っているのか、サラはそれを見ることができない。

 だから、その哀しい物語に感化されて流した涙とは、違った。

 只、その兄と妹の物語は以前に聞かせてもらっていたから、そこはかとない“気配”のようなものくらいは感じていたのだけれど……。

 サラが泣いていた直接的な要因は、ちゃんと他にあって。それは単に、昔のことを思い出していたからにすぎなかった。

 でも、やはり変に思う。その邂逅した一場面にしても、取り立てて感情を大きく揺るがすようなものではなく。それはシンプルに、幼い時の記憶だ。


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