この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
【Onlooker】~サラが見たもの~
第7章 その関係は、曖昧?

 ――あ!


 学校の建屋に入ったところのエントランス。掲示板をじっと眺めているその横顔を見つけ、宮子は側に駆け寄る。


「サラ――!」

「あ、宮子。久しぶりだね。元気だった?」

「えっ、うん……まあ」


 予想と違う笑顔を返され、宮子は思わず口籠ってしまった。


「連絡できなくてごめんね。色々と忙しくてさぁ」


 それはそうだろうと思いながら、宮子は次の言葉を探す。


「そんなこといいけど。サラ……アンタは大丈夫なの?」


 すると――


「うん」


 サラはそう元気な返事をしてから――


「実は私ね――バイトを始めたんだよ」


 と、少し周囲を気にするように、小声で宮子に伝えた。


「バイトって、どんな?」

「うーん……ゴメン! それは流石に、宮子にも言えない。でも、心配しないで。そのバイトはね、私に向いてるみたいなんだよ。みんなも優しくしてくれるし」

「サラ……?」

「とにかく――これで当面は、勉強に集中できそうなんだ。だから宮子――これからもまた、よろしくね」


 そう言って、元気に階段を駆けてゆく、サラ。


「……」


 呆然と立ち止ったまま、その背中を宮子は見ていた。そうして覚えていたものは違和感。

 寺田宮子は、ごく普通の二十二歳の専門学校生――だから。別に鋭い観察眼とか洞察力とか、そんなものとは無縁ではあるけれど。

 でもいつも見ていた仲良しの白隅サラのことだから、それはすぐに感じ取ることができた。

 サラが普通の状態ではないこと。その眼差しが、どこか虚ろであることを。でも、それはある意味で当たり前のことなのだろうということも――わかっている。


 何故なら、サラは――。


「い、行かなくちゃ……」


 宮子は慌ててサラの後を追った。今はとにかく、側にいてあげたいと思った。

/456ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ