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第11章 マリ…出逢い

もう二度と
彼みたいな人には出逢えない。

…そう思っていた。



もう恋なんて
出来るわけない。

…そう思っていた。



このときは
彼以上の人なんて
考えられなかったから…。







メールする相手のいない
元の生活が始まった。


相変わらず
主人との間に会話はなく
家政婦のように
家事をこなすだけの日々。


それでも
京都の彼との想い出があったからこそ
辛くても耐えていられたんだと思う。





パートで勤めていた会社も
繁忙期が過ぎ
午前中で帰れるようになったある日
ふと――私は思い出した。


京都の彼とメールするようになってから
放ったらかしにしたままのサイト。


メッセージが届いているか
確認するわけでもなく
ページを開くことさえしていない。


削除した記憶はないから
そのままになっているんだろうか？


それとも
長い間ログインしていなかったから
ページが
削除されているかも知れない。



確認するだけのつもりで開いたページには
たくさんのメッセージが届いていた。


なかには
何ヶ月も前の日付けのものもある。


そのメッセージを見た途端
私はまた…

ドキドキする感情が
よみがえってしまったのだった。