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隷吏たちのるつぼ
第5章  第四章 口開く陥穽
「はあっ、……ああ、んっく……」

 どうしても、声が漏れた。唯一動かせる膝が時折、前触れもなく脛を弾ませる。征四郎は全裸で対面のソファに座り、苦悶する自分の様子を、ブランデーを飲みながら悠然と鑑賞していた。

 女にこんな扱いをするなんて、何て卑劣で、悪虐な男なのか。最低の人間だ。

 その憤りだけで、一時間という時間を耐え抜くべくもなかった。

「うく……、も、もう……」

 さっき、征四郎は押し入るや否や果て、放出を終えた肉棒を抜き去った。つまり、欲熱渦巻く襞が擦られたのは、一回だけだ。そのたった一回の肉の記憶が、絶頂することも凪ぐこともできない体を、より狂おしくさせる。

「もう?」
「うう……」
「くくっ……、どれどれ」

 言い淀んでいると、顔を仁王立ちで跨がられた。視界を覆う暗みの中では、淫汁が乾いた白滓のこびりつく褪黒い股ぐらの中央で、縮毛を帯びた囊に隠れてしまうほど牡茎を聳立させている。

「マ×コがパクパクしてんぜ?」
「んんっ、……み、見ないで……」
「ぜんぶ丸出しにしといてよく言うぜ。……ま、スケベマ×コ見てたらもう一発ヤリたくなってきたから、ブチこませてもらうわ」

 征四郎が五指を開いてヒップを掴み、臀を割って綻ばせた肉花の真ん中へ亀頭を擦りつけてきた。

(も、もうダメ……)

 仮に手が自由でも、突き飛ばし、顔を引っ叩けるだろうか?

 もはや自信のなくなった悠香梨を、征四郎が堂々と貫いた。

「うあぁ、ああっ!!」

 肉枠が広げられるや、鬱積していた一時間分の性感が爆ぜた。まだ爆炎が収まっていないのに、直後の襞壁を緩やかに傘が擦り続ける。征四郎が一度めと量の変わらぬ毒汁を吐き出すまで、立て続けに三度も昇天させられた。

 最後の一滴まで絞り出した征四郎が晩酌を再開する。肴は、引き続きローターで攻められている自分の姿だった。
 飲むだけではない。風呂に入ったり、テレビを見たり、あろうことか少し眠ったり。
 そして不意に近づいてきたかと思うと、「もう一発ヤラせろ」「また出したくなってきた」「少し休んだら、おっ勃った」──無遠慮にヒップへ跨ってくるのだった。
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