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鬼ヶ瀬塚村
第4章 荒岩一族との初対面
居間だと言われ通された座敷は軽く小規模の宴会が出来そうな程広かった。
香ばしい畳の匂いが肺に心地よい。
なんだか懐かしい匂いだ。
『電話ではあれだけ騒いでて出迎えは誰もなしなの?…紗江ー!いるんでしょー!?お茶くらい出しなさいよー!』
真理子さんが居間から覗く暗い台所へ向かって声をあらげる。
僕は大きな松の木で出来たちゃぶ台の前に正座していた。
少し緊張をほぐそうと体勢を傾けた。
台所がチラッと見えたのだが、台所と呼ぶには申し訳ない程の立派な調理場が見えた。
よく有名なシェフなんかが愛用しているステンレス製の巨大なシステムキッチンだ。
料理番組に出演したシェフが料理を作る際に利用しているようなやつだ。
そのステンレスの表面がもやっと動いたように見えた。
僕は裸眼ではほとんど見え無い物だから、目を精一杯ギュッと細めてそれを観察していた。
その黒いもやがまた動くと同時に、調理場から甲高い声がこちらに向かって飛び込んできた。
『義姉さん、自分でぢゃあぐれぇ淹れれねでよぐだんこづれごめるばな?』
声の主はくっくっくっと笑っている様子だった。
『紗ー江!あんたもいい加減にしなさいよ!?』
再びステンレスの動くもやが素早く動いたかと思うと、暖簾をパサッと掻き分けて随分若い女性がこちらを睨んでいた。
あのもやは彼女の影が反射して写って居た物だと理解した。
香ばしい畳の匂いが肺に心地よい。
なんだか懐かしい匂いだ。
『電話ではあれだけ騒いでて出迎えは誰もなしなの?…紗江ー!いるんでしょー!?お茶くらい出しなさいよー!』
真理子さんが居間から覗く暗い台所へ向かって声をあらげる。
僕は大きな松の木で出来たちゃぶ台の前に正座していた。
少し緊張をほぐそうと体勢を傾けた。
台所がチラッと見えたのだが、台所と呼ぶには申し訳ない程の立派な調理場が見えた。
よく有名なシェフなんかが愛用しているステンレス製の巨大なシステムキッチンだ。
料理番組に出演したシェフが料理を作る際に利用しているようなやつだ。
そのステンレスの表面がもやっと動いたように見えた。
僕は裸眼ではほとんど見え無い物だから、目を精一杯ギュッと細めてそれを観察していた。
その黒いもやがまた動くと同時に、調理場から甲高い声がこちらに向かって飛び込んできた。
『義姉さん、自分でぢゃあぐれぇ淹れれねでよぐだんこづれごめるばな?』
声の主はくっくっくっと笑っている様子だった。
『紗ー江!あんたもいい加減にしなさいよ!?』
再びステンレスの動くもやが素早く動いたかと思うと、暖簾をパサッと掻き分けて随分若い女性がこちらを睨んでいた。
あのもやは彼女の影が反射して写って居た物だと理解した。